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サヌキノススメ第11回 その2『漆の家〜男木島散策〜オンバファクトリー』

 

ではでは、見学会の午後のプランのスタートです!

 

男木島に来ている以上、

いつかどこかで出会うだろうと思っていたら、漆の家に向かう途中で大量に遭遇しました。

 

 

猫です!

おそらく島テーブルで買ったさざえご飯の匂いもあるんでしょう、わらわらとやって来ました〜。

 

 

NHKさんの猫番組でも取材が来たことがあるくらい男木島には猫がたーくさん。

ぶらぶらしていてもどこかで見かけると思いますが、猫スポットはいくつかあります。

島の東側へ海沿いに行くとご一行様に会えるかもしれません。

 

 

猫の世界にもありますよね、縄張りやら、上下関係やら・・・。

 

参加者さんたちは手持ちの食べ物をあげつつ、写メにいそしんでおりました。

そうして猫の可愛さに癒やされたのもつかの間。

 

 

またもや坂です!

写真に写っているのはスタッフですが、

撮影している私はもっとしんどそうな顔をしていたに違いありません。

なまった体にムチ入れて、一歩一歩進みます。

 

 

「漆の家」目指して、ひたすらに、上ります。

今回はあえてこの坂道ですが、こちらよりは傾斜が低い道や近道もありますのでご心配なく!

 

それはもう大変な上り坂を超えたあとにはご褒美が!

 

 

絶景です!周囲が開けているここからだと島の風景と海が一望できます。

お天気もよくて本当によかったですね。

この景色があるので大島さんがご案内してくれました。

 

 

そうして到着しました、漆の家!

 

こちらも瀬戸内国際芸術祭の作品のひとつで、2010年の第1回開催にあわせて作られました。

芸術祭の会期外はほとんど閉館しているのですが、今回は特別に開けてもらっています。

漆の家プロジェクトさんありがとうございました!

 

当日、漆の家を案内してくださったのは漆の家プロジェクトのメンバー、漆芸家の佐々木博さんと小笠原幹さんです。

 

 

そもそも「漆の家」とは名前の通り、漆を塗った家屋です。

家にまるごと漆、です。スケールが大きいですよね!

 

漆を塗ったものといえば、器や座卓といった生活用品もしくは装飾品、美術品が一般的かと思います。

ですが漆をもっと幅広い人に知ってもらい、親しんでほしいとの想いから、

漆芸家さんや建築家さん、大工さんといったメンバーと島民の方たちのサポートで作り上げられました。

ちなみに使われた家屋は、発起人の1人である漆芸家・大谷早人さんのご実家だったお宅です。

 

家はいくつかの部屋にわかれていて、まずは「黒い部屋」を見学!

 

 

いろいろな漆を塗っては乾かし(正確に言うと固めて)、塗っては乾かしを何度となく繰り返し、

仕上げに出来上がった漆の層を削ることでさまざまな色を出す「彫漆(ちょうしつ)」という技法が使われているお部屋になります。

壁面はパネル式になっていて、自宅などで塗ってから組み立てました。

イメージは「夜空」でしたが、雪やホタルを思い浮かべるお客さんも多いそうで、自由に連想してもらえればとのこと。

 

2010年の芸術祭会期中には、訪れたお客さんに壁を削って漆の「星」を刻んでもらうイベントが行われました。

黒い漆を慎重に削っていって鮮やかなグリーンがあらわれたとき、お客さんの胸にもこの思い出が鮮烈に刻まれたんじゃないかなと思います。

 

 

壁だけでなく、柱も、天井にも漆が!

和紙に漆を塗ってあとで貼ったそうです。

 

使い込むうちに色合いが変化して味わいがでてくるのも漆の特徴のひとつ。

数年後、数十年後と、どう移り変わっていくのかも「漆の家」の見どころですね。

 

 

続きまして、靴を脱いでお隣の「白い部屋」へ。

もちろん白い壁面も漆です!

床も同じ白色なのですが、漆の上に立つなんて体験なかなかできませんよ・・・!

 

 

引き戸を開けると、目に飛び込んでくるのは白に映える赤色。

薄く細く木をスライスしたものに漆を塗って、編みこんでいったもので、夕日に染まった瀬戸内海がイメージだそうです。

 

実は上の画像にあるのとは別の柄も、反対側に隠されております!

そちらはぜひ足を運んで見てみてくださいね。

 

 

黒い部屋、白い部屋を出て、お隣の家屋に入ります〜。

 

 

壁にはめ込まれた丸い模様の部分は、国の伝統的工芸品に指定されている香川漆器の5技法でそれぞれ塗られています。

塗りの違いは見た目以上にさわってもらうことで分かります。

参加者さんも通りざまにペタペタ。

 

 

大谷さんが使っていた「室(むろ)」も展示されています。

室は漆器作りに今も欠かせないもの。

この室のなかに塗った漆器を入れて、湿度などに気をつけながら乾燥させていくんですよー。

大なり小なり、漆器屋さんはもちろんのこと、漆芸家さんも多くの方が室をお持ちです。

 

 

モダンな和室で休憩しながら、

佐々木さんからお話をお聞きしたり質問をしたりとおしゃべりタイムです。

 

 

香川県は漆器の産地で、国の伝統的工芸品に指定されているにも関わらず、知名度は高くありません。

さらに全国的にも漆器を使う人は減り続け、それとともに作り手も減少傾向にあります。

 

陸地から離れた島で、漆を塗って家をつくるなんてきっと前代未聞だったはずで、大変なことも多かったと思います。

ですが、家という大きな生活空間で漆を肌身に感じてもらうこと。

その結果、漆に興味を持つきっかけになればという作り手さんたちの想いが「漆の家」に注がれています。

 

 

余談ですがお手洗いの壁面も漆です。どこもかしこも、徹底して漆です。

漆の家に行ったときにはお手洗いにも忘れずお立ち寄りくださいませ。

 

 

大島さんのご案内のおかげで、男木島の伝説や井戸についてなど、

島に住んでいるからこそ分かるお話をたくさん聞くことができました。

 

入り組んだ細い路地をすいすいと先導していただきまして、迷子にならずにすんだことも大島さんのおかげです。

男木島の迷路っぷりは行ったことがある方ならわかってもらえるはずです!

 

 

こちらの「豊玉姫(とよたまひめ)神社」は安産の神様が奉られています。

 

 

ここも高い場所にあるので見晴らし最高!男木港も一望できますね。

 

 

男木を散策して空が橙色に染まり始めたころ、大島さんの本拠地とも呼べる「オンバファクトリー」さんへ。

こちらもお休み中のところご好意で開けていただきました。

大島さん、なにからなにまでありがとうございます。

 

 

 

「オンバ」とは押し車のこと。

坂道が多く、車が通れないくらい細い道も多い男木島では、荷物を運ぶのに欠かせないのがオンバ。

これを島の人のそれぞれの好みの形、大きさなどの希望を聞いて実現させてきたのが「オンバファクトリー」さんです。

瀬戸内国際芸術祭の作品のひとつでしたが、会期終了後もずっと男木島と関わっており、

最近、120番目のオンバを製作したそうです。

 

 

オンバファクトリーさんの展示、カフェスペースとなるこちらにも製作してきたオンバが展示されていますが、

その多くは実際に男木島で使われています。

前回のブログで写真を載せているのですが、さざえご飯を売っていた方が使っているのもオンバファクトリーさん製作のオンバ。

さざえご飯をしまっておけるよう、蓋付き収納オンバです。

 

 

大島さんは高松で産まれ育ちましたが、男木島の出身というわけではありませんでした。

高校生のとき、写真を撮りに男木島に来たのが最初です。

 

 

創作活動を続けていた大島さんは、瀬戸内国際芸術祭の開催をきっかけに再び男木島へ。

そして男木島のおばあちゃんがオンバを押していく姿を見て「かっこいい」と思ったのだそう。

地域に寄り添い、動く作品を作りたいと考えていた大島さんに、オンバはぴったりと当てはまりました。

 

 

高齢化が進む男木島。

その一方で去年の春には21人が移住し、休校していた男木小・中学校が再開しました。

船で通勤する人もいますが、特技やアイデアを持って男木島で働いている人もいます。

また、大島さんも関わる「男木deあそび隊」という男木島のファンサイトに登録して、お祭りや草刈りなどを手伝いながら島の時間を楽しんでいる人もいます。

 

男木島に人を呼ぶきっかけになったのは瀬戸内国際芸術祭の開催が大きいと思います。

しかし、現在まで継続してこういった活動ができているのは、

大島さんをはじめとしたたくさんの人の働きかけや努力、島を離れていても男木島のことが好きな人たちの支えがあってこそだと感じました。

 

 

男木島について知らないことが山のようにたくさんある私ですが、男木島に行くとワクワクして楽しい気持ちになります。

それは今までの見学会で食品や工芸品を作っている生産者さんとお話したり、作業場を見せてもらっているときの気持ちとよく似ています。

知らないことばかりで勉強不足なのを痛感しても、知りたいなぁと思うんですよね。

 

島も、食品も工芸品も、1度や2度説明を聞いたくらいでは全然足りないくらい歴史や工夫を積み重ねて成り立っています。

ですが、その端っこを知ることができたときや、作り手さんの想いに触れたときに、

今まで知らなかったその「物」が 自分に一気に近づいてくる感覚がありました。

それと同じように、見学会の参加者さんやブログを読んでくれる方に、香川県の食品、工芸品、文化をちょっとでも身近に感じてもらって、

手に取るきっかけになれば心から嬉しく思います。

 

2014年4月から毎月1回行ってきた「サヌキノススメ」は、

2015年2月の第11回をもって、一区切りとなります。

ご多忙のなか、ご協力くださいました見学先のみなさん。より道させていただいたお店のみなさん。

毎月1回のラジオコーナーをいっしょに作ってくださったFM815「タカマツシティリミッツ」さん。

数回にわたって記事を掲載してくださったリビングたかまつさん。宣伝してくださったメディアのみなさん。

見学会の参加者さんに、ブログを読んでくれたみなさん。見学会を支えてくれたサン・クラッケのスタッフ。

本当に本当にありがとうございました!

 

今までのブログや動画、ラジオコーナーもリビングたかまつさんの記事はコチラのページからお楽しみください。

 

香川県のことがますます好きなったハスイでした!

1年間ありがとうございました!

 

 

ハスイ