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サヌキノススメ第5回 その5『川口屋漆器店と香川漆器について』

 

■川口屋漆器店さんのはじまり

創業は昭和21年。日本が終戦した次の年です。

「川口屋」という屋号でよろず屋を営んでいましたが、家具と漆器を作っていた近場の親戚の下請けをはじめました。

その親戚は漆器作りをやめて別の商売に転向。

川口屋さんは自立をして、創業から68年経ちます。

今の社長さん、佐々木敏晴さんは2代目で、3代目になる息子さん、康之さんも漆器作りに携わっています。

 

■漆器とは

漆の木からとれた樹液を加工してできる『ウルシノール』を、木や紙に塗り重ねた容器のことです。

漆を塗る前の容器となるものを素地(きじ)と呼び、素地が木ならば「木地」(きじ)と呼びます。

川口屋さんでは香川の木地屋さんからほとんどの木地を仕入れています。

漆は全国に数軒残っている漆屋さんが精製したものを購入して使用します。

ちなみに日本でとれる漆の量はごくわずか。中国からの輸入が大部分を占めています。

 

漆には防水、防腐効果があり、昔は接着剤として使われるほどの接着力ではげにくく、ある程度の熱にも耐える丈夫さを持っています。

高価なイメージを持たれがちですが、漆は1度塗ると乾いて固まるのに約1日かかるため、漆をどれだけ塗り重ねたのか、加飾がされているのかどうかが値段にあらわれます。

 

■香川の漆器のはじまり

 

高松藩主が松平頼重公だった江戸時代、頼重公が漆芸や彫刻などの芸術分野を奨励したことが始まりとされます。(ちなみに頼重公は讃岐独自の織物の開発を命じ、その結果、保多織が生まれました)

その後、高松出身の玉楮象谷(たまかじぞうこく)が、中国から伝わった漆芸技術「存清(ぞんせい)」「彫漆(ちょうしつ)」そしてタイやミャンマーが起源の「蒟醬(きんま)」の研究を重ね、独自の技術に変えました。

「象谷塗(ぞうこくぬり)」も中国など外国の漆芸技術を知ったうえで、玉楮象谷が創案。

その玉楮象谷に技法を習った後藤太平 が考案したのが「後藤塗(ごとうぬり)」です。

香川漆器は国指定の伝統的工芸品(経済産業大臣指定伝統的工芸品)に認定されていますが、

正確には「存星」「彫漆」「蒟醬(きんま)」「象谷塗」「後藤塗」の5つの技法が指定を受けています。

このことからも、現在の香川漆器の基礎を築いたのは玉楮象谷といえます。

 

■香川漆器の特徴

 

木地は成形方法によっていくつかの分類に分かれますが、

川口屋漆器店さんのお話によると、香川は木をくりぬいて作る木地がほとんど。

木と木を組み合わせた木地、指物(さしもの)で作られていることが多い重箱も、香川では木をくりぬいて作っています。

そのぶん価格には加味されますが、木の間にすき間がないことから長持ちして壊れにくくなります。

 

伝統的工芸品に登録されている5つの技法以外にも、使っている塗りの手法がとても多いことも香川の漆芸の特徴です。

 

こちらが「独楽塗(こまぬり)」

木地の材質を活かした「すり漆(うるし)」

「朱塗」「根来塗(ねごろぬり)」

など多彩です。

 

以前は座敷机の全国約7割程度は香川で作られていたそうです。

現在でも香川の漆器組合に所属している会社のおよそ8割は家具などの大きな商品を作り、川口屋漆器店さんのように食器などの小さいものをつくっているのは約10社となっています。

 

■香川漆器の知名度

 

漆器の産地としての香川の知名度は高くありません。

ですが香川漆器は国の伝統的工芸品の指定を受け、漆芸分野で5人の人間国宝を輩出しており、現在、漆芸分野でご存命の人間国宝10名のうち3名が香川県出身です。

香川には全国で2箇所しかない漆芸技術の伝承を目的とした施設「漆芸研究所」もあります。

もう1箇所は輪島塗で知られる石川県で、設立は昭和42年。

昭和29年に設立された香川の漆芸研究所は全国のさきがけでした。

 

とはいえ県内外問わず漆芸を学びに来る人がいる一方で、香川の漆器屋さんに就職する進路を選ぶ修了生は多くなく、

漆芸を続ける選択をした修了生のおよそ半分は作家としての道を選んでいます。

別の産地の漆器屋さんに就職する修了生もおり、生活スタイルの変化にともなう漆器の需要の低下があるにせよ、作り手の減少も今後の課題になっています。

 

■漆器のつかいかた

 

漆が苦手なものは急激な温度変化や紫外線です。

長い時間直射日光が当たる場所には置かず、電子レンジや食器洗浄機、乾燥器には使用しないでください。

漆器の塗りの種類にもよりますが、油汚れがなければ洗剤を使ってスポンジで洗うことも可能です。

そのとき水に長時間つけおいたりしないよう気をつけてください。

洗った後は水気を拭いて、しっかり乾かせば大丈夫です。

 

漆器はとにかく扱いにくいイメージをもたれていますし、実際、加飾や用途によっては扱いに気をつけなければいけません。

しかし、物心ついたころから漆器の食器を当たり前に使ってきた3代目の佐々木康之さんは、ほかの家では食卓で漆器がほとんど使われていないことに驚いたといいます。

普段使いできる漆器は洗剤で洗い、最後まで乾かして使うだけで特別な手入れは必要ありません。

 

■川口屋漆器店さんの想い

 

佐々木敏晴さんに漆器のこれからを尋ねたとき、

「漆器の良さはこれから使う人が決めてくれる」とおっしゃっていました。

漆器を買ったり頂いたりしても仕舞いこんでいる人が多いですが、「漆器は使ってなんぼ」

川口屋さんでは昔ながらの漆器のほか、数十年前の図面をもとにアレンジを加えたものや、

お客さんの声をもとに今までになかった小鉢サイズの漆器やカラフルな漆を塗った漆器など、幅広い世代に手にとってもらえるものづくりをしています。

 

“漆器だから”ではなくデザインに惹かれて商品を手にとった方も、まずは最初の1つから。

漆器が本来持っている良さや、そう難しくない手入れ方法を知ってもらえれば、きっと次のきっかけに繋がります。

 

ハスイ

 

 

 

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