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サヌキノススメ第5回 その4『三原飴店とぎょうせん飴について』

 

■三原飴店のはじまり

今からおよそ290年前。

江戸亨保の時代に、三原家のご先祖さまが阿波(現在の徳島県)でぎょうせん飴の製法を学んできました。

ぎょうせん飴作りはあくまでも農業の“副業”として生活を助けるもの。

そのため、代々お嫁さんが作り続けてきました。

お姑さんからお嫁さんに継がれていくそれは今も絶えることなく、現在9代目。

9代目・紀子さんの旦那さんも最近まで別の仕事をしていました。

 

ぎょうせん飴作りを継ぐのは長男のお嫁さんですが、

紀子さんの旦那さんである元幹さんの曽祖父にあたる方は子供に恵まれず、養子をとったそうです。

当時は子供のいない家庭が親類から養子を取ることは珍しくありませんでした。

 

■ぎょうせん飴とは

 

もち米、麦芽、水のみで作られる水あめです。

地黄(じおう)という薬草を加えた水あめが「地黄煎(じおうせん)」とよばれていて、

それが「ぎょうせん」という名前の由来なのではと言われています。

 

やさしい甘さのぎょうせん飴ですが、砂糖はまったく使われていません。

 

砂糖が日本に持ち込まれたのは奈良時代が最初といわれています。

当時は薬品として使われていて、輸入でしか手に入らない非常に珍しいもの。

それが一般に流通し始めたのは江戸時代のことですが、平安時代の書物に「飴」の表記が残されており、これは砂糖のことではなく小麦などを使った飴のことだそう。

また、小麦を使った水飴のそもそもの起源はメソポタミア文明のころだという調査結果が、香川大学の教授によって出されたといいます。

それほど昔から小麦を利用した甘味が作られていました。

 

■三原飴店のぎょうせん飴の材料

 

必要なのは、もち米、麦芽(小麦)、水。

 

もち米は香川県産と広島県産のもの。次点で佐賀県産のものを使用します。

県外のもち米も準備しているのは、冷夏などが原因の不作で十分な量を確保するのが難しい年があったため。

作られ方がはっきりしているものだけを選び、広島県産のものは減農薬のもち米を。

香川県産のものは農薬を取れる精米機を使用したもち米を使っています。

 

小麦は香川の「さぬきの夢」

正確には小麦を発芽させてアミラーゼを生成した“麦芽”が材料になります。

 

麦芽は冬の時期に1年分をまとめて作ります。

小麦を水に浸して木箱の中に置いておくと、約1週間で芽が出てきます。これが麦芽です。

なぜ冬に作業を行うかというと、発芽すると小麦に熱が出てカビが発生するため。

できるだけ乾燥した冬の時期に発芽させます。

しかし木箱は覆いで隠しておくため、発芽の具合を確かめるとこができません。

天気や気温によって発芽させる時間を見極めるのもぎょうせん飴づくりに欠かせない作業です。

麦芽の活性化はほぐして干すとストップします。

 

■ぎょうせん飴の作り方

 

沸騰したお湯でもち米がおかゆのようになるまで炊きます

粉にした麦芽を少しずつ入れながら、3〜4時間かけて混ぜます

おかゆがサラッとしてきたら一晩寝かせます

(1日目終了)

麦芽の酵素・アミラーゼで甘みが増した飴汁を、布袋に入れて2回こします

火加減に気を付けて焦げないように、8〜10時間煮つめます

できあがり

 

ちなみに瓶詰めは竹の棒にぎょうせん飴をまきつけて、1個ずつ瓶に計り入れていきます。

 

今は灯油が燃料の釜も、以前はおがくずを利用していました。

 

■ぎょうせん飴の甘さの理由

 

発芽した小麦に含まれている糖化酵素・アミラーゼ。

アミラーゼがもち米のデンプンを分解して麦芽糖にするため、砂糖は入っていないのに甘さが出てきます。

三原飴店さんのもち米と麦芽の割合は秘密です。

 

■ぎょうせん飴のつかいかた

添加物不使用の、自然食品であるぎょうせん飴。

母乳の出や産後の肥立ちに良いとされ、出産祝いにする方もいます。

のどが痛いときには、皮付きのまま容器に入れた大根に、大根の約半分ほどぎょうせん飴をのせ、

出てきた汁を飲むと効くとされており、三原飴店さんのホームページでも紹介されています。

煮物などの料理やお菓子作りにハチミツ代わりにして使うと、より作ったものの美味しさが増すと紀子さんはお話されていました。

 

■ぎょうせん飴のロゴ

 

三原飴店さんとお知り合いだった、

香川県出身、在住の書道家・池田秋濤(しゅうとう)先生が書かれたものです。

「素人っぽく」書いて親しみが持てる字にしたかったとのこと。

池田先生は「讃岐天ぷら うえ松」さんや海老煎でおなじみ「志満秀」さんのロゴも手がけている方です。

 

■三原飴店の想い

 

お姑さんからお嫁さんへと受け継がれてきたぎょうせん飴作り。

季節問わず2日かけてじっくりと作られる飴で、家族の生活を助けてきました。

戦前戦後は、ぎょうせん飴と物々交換で野菜などをもらうこともあったそうです。

生活が安定した現代も、290年続いたぎょうせん飴の良さを守り、

買い求めてくれるお客さんの声のためにもこれからも作り続けていこうと

紀子さんたちは励んでいます。

 

 

ハスイ